ナムカブアンの死去はムエタイ界を騒然とさせました。

48歳でしたが、見た目がとても若く見えたのでさらに驚きでした。
若い人は名前すら聞いたことがないと思いますが、伝説のムエタイ選手です。
タイナーの使い手として名前を挙げていたナムカブアンは、ムエタイ界のスーパースターでルンピニーの元チャンピオン。
(※タイナーについては下記で詳しく説明しています。)
残念ながら、2021年4月に肺がんで亡くなってしまいました。
2021年1月 ステージ4の肺がんと診断
2021年4月7日(水)タイ時間10:30頃
48歳という若さでした。
タイではガンで亡くなる人が1番多いです。
話は変わりますが、
センティアンノーイも亡くなり、2021年はとてもショッキングなニュースが多いムエタイ界です。
ナムカブアンの経歴
ナムカブアン นําขบวน (Namkabuan Nongkip)
1973年2月〜2021年4月7日(48歳没)
出身:ブリラム(บุรีรัมย์)県ノンキー(หนองกี่)地区
戦績:283戦266勝15敗2分
構え:オーソドックス
得意技:タイナー
タイトル:ルンピニースタジアムジュニアライト級王者(130ポンド)、世界ムエタイ評議会王者
最高ファイトマネー:260,000バーツ
นําขบวน(ナムカブアン)はタイ語で、
✅นํา(ナム)=導く、リードする
✅ขบวน(カブアン)=(祭りや電車などの)行列、連なり
ナムカブアンのムエタイ選手時代は、6年間もルンピニースタジアムのジュニアライト級チャンピオンを死守しました。
ルンピニーの王者になること自体難しいのに、王者を守り続けるのもスゴいことです。
さらに、驚きはそのファイトマネーです。
最高額で260,000バーツ。

ものすごい金額でビックリです。
ムエタイで成り上がる、まさにムエタイドリーム。
ムエタイ引退後はナコンラーチャシーマ県でムーカタ屋をオープンしました。
また、プーケットのタイガームエタイジムでもムエタイを少しだけ教えていたようです。
ナムカブアンのタイナーとは
タイナーはタイ語で”ไถนา”
✅ ”ไถ”(タイ)は、タイ語で「耕す」
✅ ”นา”(ナー)は、タイ語で「田んぼ」
タイナーは相手の蹴り足を掴み、そのままロープまで押し込みヒザや蹴りを返す技です。
相手の足を掴んで押し込んでいく姿が田んぼを耕す姿に見えることから、田んぼを耕すタイナーと名付けられたようです。
タイナーは禁止技となってしまいましたが、ナムカブアンはその後も攻撃的なスタイルで活躍しました。
タイナーは反則技となっていますので、ロープまで押し込んで崩れた状態で攻撃をすると反則負けとなります。
JMC横浜や谷山ジムでもトレーナーをしていたカノンスック・チューワッタナ(チャイ)がタイナーでやられて、相手の反則負けとなった試合です。
確かに、崩れてほぼ倒れかかったところへの攻撃のため危険です。
蹴り足を掴まれたら、外せるのは掴まれた瞬間だけです。
足を深く持たれてからだとなかなか抜けないため、掴まれた瞬間に抜くのがポイントです。
1度蹴り足を相手側に押し込んでから、自分のほうに引いて抜きます。
ナムカブアンも足を掴まれた時に、相手を蹴り足で押し込んでから引いて足を抜いています。
前蹴りを掴まれた時も同じ対処方法です。
相手を蹴って、その反動で自分のほうに足を引いて抜きます。

いきなり引こうとしても、相手も引っ張っているので抜けません。
または、蹴り足を内側に入れて、ヒザを下に向けながら抜く方法も昔タイで教えてもらいました。
もし蹴り足をがっちりと掴まれてしまった時は、こけないようにします。
こけないためには、軸足をつま先立ちにします。
そして、押し込まれた分だけ自分もジャンプしながら後ろへ回避します。
【ナムカブアン】ムエタイ界のスーパースターの映像!!
ナムカブアンはムエタイのトップ選手で、憧れていた日本のキックボクサーも多いです。
相手の蹴り足を掴むというのは、ムエタイの試合ではよくあります。
しかし、ムエタイ選手のキレのあるキックを掴むというのも技術がいります。
特に、トップのムエタイ選手のキックの威力は凄まじいものがあります。
ナムカブアンの動画を見るとそのすごさがよくわかります。
それだけ、相手の攻撃がよく見えているということです。
✅ナムカブアン vs センティアンノーイ
センティアンノーイもタイナーを使ったり、お互いにキックや首相撲もうまくとてもハイレベルな試合です。
ナムカブアンのタイナーにまったくこかされないセンティアンノーイの体幹やバランスも驚くものがあります。
ムエタイのハイレベルな試合を見ると、やはりK-1や日本のキックボクシングとはまったく別物だと認識させられます。
✅ナムカブアン vs チュアリー
チュアリーも蹴り足を掴まれても全然倒れず、やはりムエタイ選手のバランスの良さがよくわかります。
足を掴まれてもお互いにすぐ転ばないところがムエタイの強さ。
ナムカブアンがミドルキックをスウェーで何度もかわしている場面も見受けられるので、そもそも相手のミドルキックがよく見えているのだと思います。
パンチやヒジも出していますが、キックやヒザが9割ほどを占めていて、K-1の逆バージョンです。
✅ナムカブアン vs アタチャイ
日本でも何度も試合をしているアタチャイはナムカブアンにも勝利しています。
✅ナムカブアン vs ヌアトラニー
✅ナムカブアン vs オーレ
✅ナムカブアン vs ワンチャンノーイ
ワンチャンノーイにわずか33秒左フックでKOされ、最速KO負け記録も作っています。
そして、「33秒の拳」(ไอ้หมัด 33 วิ)というニックネームを得ることに。
ナムカブアンのまとめ
ナムカブアンはタイナーが代表的ですが、ムエタイ選手としてどの技も素晴らしく伝説的な選手の1人でした。
ナムカブアンの時代も強豪選手がひしめいていましたが、ムエタイのトップ選手の試合は、ゆったりとしたリズムの中でも攻防の中の一瞬の動きにキレがあり、見ていてとてもおもしろいです。
若い人たちにも見てもらいたい選手の1人です。