2021年11月14日に原口選手との試合が実現!
そして、世界レベルの強さを見せつけていきました。
【2021年11月14日 Cygames presents RISE WORLD SERIES 2021 OSAKA2】
▼メインイベント(第14試合) Super Fight! -65kg契約 3分3R延長1R
原口健飛(FASCINATE FIGHT TEAM/RISE DEAD OR ALIVE 2020 -63kgトーナメント優勝)
ペットパノムルン・キャットムーカオ(タイ/Kiatmoo9/GLORY世界フェザー級王者)
↓キャンセルになりました!
先日、「RISE ELDORADO 2021」(2月28日、神奈川・横浜アリーナ)のマッチメイクが発表され話題になりました。原口健飛選手の対戦相手が、なんと世界最大級のキックボクシング団体「GLORY」の現役世界フェザー級王者、ペットパノムルンだったのです。RISEのの交渉力もすごいですが、いきなり世界チャンピオンとの対戦です。ムエタイで数々のスター選手と激闘を重ね、2016年8月からは「GLORY」を主戦場にキックボクシングの試合に専念にしている。
個人的には現在の「GLORY」でキックボクシングをしている試合よりも、昔のムエタイの試合のほうがレベルが高く感じてしまいます。しかし、ヒジ無し、首相撲制限有りのキックボクシングルールでも、左の前蹴り、左ミドル、左ハイキック、左ヒザ、左ストレートを武器に数々のKOも築いています。それでいて、うまくクリンチワークでのこかし、足払いなども使いながら試合を運ぶため、老獪なテクニックも健在です。原口健飛選手にとっては過去最強の相手(老獪さ、やりにくさも含めて)だと言っても過言ではない。
ペットパノムルンの経歴
ペットパノムルンは6人兄弟の5番目として生まれる。ボクシングで亀田興毅と世界タイトルマッチを行った兄のパノムルンレックとは10歳離れている。その兄の背中をみていたペットパノムルンは8歳からムエタイを始める。さらには、ギャットムーカーオのジムから300mのところに家があったそうです。近所の子たちを集めて、教えたらみんなトップ選手になったと言われるように、本当にご近所に住んでいました。
しかし、始めはあまりムエタイが好きではなかったと言う。そこから、少しずつおもしろくなりムエタイにはまった。イサーン地方は農業が中心であまり裕福でない家庭が多いため、家族を支えるためにムエタイの試合に出ていたという側面も、もちろんあります。それから、試合をこなしながら頭角を現すことになったのです。
ルンピニースタジアムのタイトルに2回挑戦して2回とも敗れてしまい、戴冠できませんでしたが、数々の強豪を撃破しています。プラチャンチャイ、サームエー、セクサン、カイムッカーオ、シントンノーイ、クワンカーオ、ペットモラコット、チャムアックトーン、ゴーンサック、中国のウェイ・ルイ、日本でも知名度があるザカリア・ゾウガリーなどです。GLORYでのザカリア・ゾウガリーを左ハイキックでKOしたシーンはまさに鳥肌ものです。
リングネーム:เพชรพนมรุ้ง เกียรติหมู่9
(ペットパノムルン・ギャットムーカーオ)
生年月日:1995年1月1日
構え:サウスポー
戦績:208戦167勝37敗4分
(ムエタイ選手は試合しすぎて、戦績は有って無いようなものですが…)
獲得タイトル:
タイ国プロムエタイ協会バンタム級チャンピオン(2011年)
ルンピニータイトルマッチ、ペンエークに敗れる(2012年)
ルンピニータイトルマッチ、ゴーンサックに敗れる(2013年)
タイ国プロムエタイ協会スーパーフェザー級チャンピオン(2013,2014年)
トヨタ・ヴィーゴ・マラソン64kgトーナメント優勝(2015年)
WMCムエタイライト級世界チャンピオン(2016年)
GLORY世界フェザー級(65kg)チャンピオン(2018年)
※22歳で最年少世界チャンピオン、4度防衛中。
ペットパノムルンのリングネーム
「เพชรพนมรุ้ง」=ペットパノムルン
✅เพชร (ペット) = ダイヤモンド
ムエタイではペットをリングネームに使用している選手はとても多いです。実際には語尾の「ト」はほとんど発音されないので、正確にはペッ(ト)パノムルンの発音です。
✅พนมรุ้ง (パノムルン) = パノムルン遺跡、パノムルン自然公園
クメール語で「大きな丘」の意味だそうです。ギャットムーカーオジムがあるブリラムにパノムルン遺跡があります。そのため、ペットパノムルンだけでなくパノムルンレックなど、パノムルンをリングネームにつけている選手はたまにいます。
ジム名について
✅เกียรติ (ギアット) = 名誉、栄光
✅หมู่9 (ムーカーオ) = 9番目の村(番地)
タイでは村のことを「ムーバーン」と呼び、番号が振り分けられているので、日本人からすると番地のような意味合いが強いと思います。タイの地図や住所を見ると「MOO (数字)」の表記をよく見かけます。
ペットパノムルンのスタイル
ムエタイでは何でもできるテクニシャンのフィームースタイルです。特に相手が出てくるところに左ミドル、前蹴りなどを合わせるのはお見事です。ムエタイのトップ選手を前蹴りで後ろにこかすシーンも何度も見受けられます。前蹴りの出し方、タイミングはとても勉強になります。パンチで倒すシーンもあり、ムエタイの試合でもパンチとヒジをうまくまとめるシーンもあり恐ろしいです。
ただ「GLORY」参戦当初は、キックボクシングとムエタイのリズムの違いやルールの違いに慣れるのが大変だったようです。キックボクシングのルールに対応するために相当研究したようです。そして、少しずつスタイルを調整しながらチャンピオンになりました。50%は新しいスタイル、50%はムエタイのテクニックを融合させたということで、ムエタイからキックボクシングへの対応の成功事例の1つと言ってよいと思います。
現在はサウスポーからの左の前蹴り、左ヒザ、左ミドル、左ハイキック、左ストレートを武器にキックボクシングに合わせた動きをしています。GLORYでも相手の前進に合わせた前蹴りや左ミドルは健在で、さらに左ハイキックのKOシーンが何度も見られるので脅威です。それでいて、ムエタイの足払い、一瞬のクリンチワークでのヒザやこかしなども織り交ぜています。老獪なテクニックを使いながら、負けない試合運びをしてチャンスではKOを狙ってくるので、難攻不落な強敵です。
ペットパノムルンの試合
ペットパノムルンのGLORYでのキックボクシングの試合はもちろんですが、ムエタイの試合もとても勉強になります。
2013年1月4日、サムエー・ガイヤーンハーダオに3-0の判定勝ち。
3:00前後にパンチでのダウンシーンがあります。サムエーの後半の追い上げの猛攻も見どころです。
2013年5月10日、セクサン・オー・クワンムアンに3-0の判定勝ち。
セクサンが前に出て、ペットパノムルンが下がりながら的確に左ミドルを当てる展開。要所要所で足払い、首相撲でのこかし、前蹴りでの後ろへ吹き飛ばしがあり、うまくセクサンをいなしています。
2016年3月7日、ペットモラコット・ペッティンディーアカデミーに3-0の判定勝ち。
7:00前後の前蹴りでペットモラコットを吹き飛ばすシーンが印象的です。組むために前に来るペットモラコットをうまくいなしています。左ミドルを蹴った後に足を入れて入らせないようにするのもうまいです。
4月7日、チャムアックトーン・ファイタームエタイに3-0の判定勝ち。
首相撲の展開での攻撃の仕方、防御の仕方などがとても参考になります。
ムエタイからキックボクシングへうまくファイトスタイルを変更しています。ムエタイの良い面を活かしながら、左のキックを軸にキックボクシングのルールへうまく対応している良い例です。
ペットパノムルンまとめ
ムエタイの老獪なテクニックと左ハイキック、左ストレートなどでのKOできる強力な武器を持ち合わせているペットパノムルン。しかし、コロナウィルスのため、ヨーローッパ、アメリカなどで興行ができずまったく試合ができていません。そのため、試合感覚が開いていることが次戦へどれだけ影響してくるかがポイントです。ブリラムなのでムエタイの練習はできていると思いますが、日本へ渡航してからの14日間の隔離期間も少なからず影響してくると思います。
ルンピニーのタイトルに2回挑戦するも惜敗。GRORYと契約してからはキックボクシングのルールへの対応へ悪戦苦闘するが、研究を重ねキックボクシングでも世界チャンピオンとなる。老獪なテクニックを持ったペットパノムルンは、原口健飛選手にとっては過去最強の相手になると思います。ただ、難攻不落のペットパノムルンをどのように攻略していくのかも楽しみな1戦です。