カーフキックの話題で持ちきりになった2021年の幕開けです。
大晦日のRIZINでスダリオ剛選手と堀口恭司選手がカーフキックを効かせてKOまで持ち込みました。カーフキックはMMAでは数年前から使う人が増えてきて流行っていて、今までもカーフキックを皮切りにKOする場面もたくさん見受けられました。
しかし、お茶の間にもカーフキックが広まったのは今回の大晦日のRIZINがきっかけと言わざるをえません。カーフキックで始まりカーフキックで終わったと言われるように、カーフキックの反響がとても大きかったです。
カーフキック動画特集

カーフキックが効くと足の踏ん張りがまったく効かなくなります。
「反則だ!」とか「禁止にしろ!」という声があるがほど恐ろしい技です。
シュートボクシングの海人vs中島弘貴の試合では、海人選手はカーフキックと知らずに蹴っていたと試合後に語っています。練習の時に足払いをやろうとしたら思いがけず効いたので、使っていたようです。それを試合であれだけ効かせるのだからすごいです。
BOMでのパコーンvs中野諒太の試合も完全にカーフキックが効いてしまいました。MMAの試合では多かったですが、キックボクシング(ムエタイ)の試合でも少しずつ効かせる場面が増えてきました。最後の倒れ方を見ると完全に足にきて立てなくなってしまっています。
KING強介選手とタネヨシホ選手の試合も、タネ選手がパンチの入りぎわのつま先が少し内側に向いた時に効かせています。
MMAの修斗の高橋遼伍選手はカーフキックが強力な武器となっていて、何度も倒したり効かせている場面があります。
和田竜光選手も相手が前に出てきて体重が乗った瞬間に、タイミングよくカーフキックをうまく当てて効かせています。
スダリオ剛選手、堀口恭司のカーフキックが話題ですが、UFCを始めMMAではカーフキックでのKOシーンや効かせている場面がキックボクシングよりも多く流行っています。
カーフキックとローキックは何が違うのか
基本的にはカーフキックもローキックの一種と考えられていました。
ローキックもふくらはぎ、膝裏、太ももの真ん中、太ももの上部など人によって蹴る場所はさまざまです。ただ、MMAでふくらはぎを効かせる選手が出てきたため、カーフキックの名前で明確に違うキックとして分けられるようになってきました。
カーフキックは足の甲など足先を飛ばすようにして蹴ります。ふくらはぎの場合は筋肉が薄く神経まですぐ近いのでよく効きます。ローキックも同じように蹴る場合もあるのですが、それだと太ももの筋肉はふくらはぎより肉が厚いためなかなか効きません。ローキックを太ももに効かせるためにはしっかり踏み込んでスネの硬い部分をしっかりと当てる必要があります。
カーフキックの蹴り方は相手の足が着いた瞬間に蹴ったり、相手がカットしようとして足を上げた瞬間に狙ったり、足払いのように蹴ったりとさまざまな蹴り方があります。
カーフキックの蹴り足の当てる位置
✅足の甲(内側)
✅足首の内側
✅スネの先
鈴木秀明さんのカーフキック解説もとても詳しく説明されています。
空手家の纐纈さんのカーフキックの蹴り方について詳しく説明されています。極真空手では下下段蹴りと言われているそうです。十数年前から使われていて、カーフキックのベテランです。
また、カーフキックの受け方についても説明しています。
そのため、カーフキックとローキックは同じとも言えますが、違うとも言えるキックなのです。
カーフキックはなぜ流行っているのか
MMAではタックルやパンチで倒す場面が多いです。そのため、足幅が広くなり重心も後ろではなく前重心になります。そのため、前足のカットがしにくいです。また、キックをした時に掴まれてテイクダウンされる恐れがあるため、ミドルやローキックはリスクが高くなります。したがって、蹴り足をキャッチされにくく、相手から1番離れたところから蹴れる場所のふくらはぎを蹴るのが安全なのです。
そのため、近年のMMAではカーフキックが主流になってきました。

キックボクシングでもカーフキックが流行り出しています。
キックボクシングでもパンチ主体の選手だと前重心でつま先が内側を向いている選手が多いです。スタンスが広い選手や前に重心がかかっている選手、つま先の向きが内側を向いている選手にはカーフキックを効かせやすいので、キックボクシングでも使われる場面が見受けられるようになりました。しかし、ムエタイの選手など後ろ重心でしっかりとカットする選手には難しいです。
それから、最近は対戦相手の試合映像が簡単に見られるため、お互いに勝つための研究に余念がありません。今回の堀口恭司選手も朝倉海選手も、お互いをとことん研究して戦略を練って練習をしています。そのため、お互いに相手の弱点をつくことと、研究されても勝てるようにさらなる技や成長が要求されてきます。
相手が予想していなかった技を出した方が効きやすいのは当然です。特にMMAの場合は何でもありなので、相手を出しぬき勝つために新しい技を研究していく流れが今後も続いていくと思います。カーフキックはMMAでもキックボクシングでもさらに流行りそうです。流行り出したら次に新しい技がまた出てくると思います。
カーフキックはなぜ効いてしまうのか

カーフキックはなぜ効きますか?
ふくらはぎの筋肉が薄いということもありますが、骨のすぐ横の神経までとても近いため神経障害を起こすと言われています。太ももだと筋肉が分厚いため神経まではなかなか届かないですが、ふくらはぎの横から後ろにかけては、しっかりと当たると1発だけでも効いてしまいます。
カーフキックが効きやすいタイミング
✅前足に体重が乗っている時
✅スタンスが広い時
✅つま先が内側に向いている時
カーフキックのリスク

カーフキックは最強ですか?
カーフキックは最強のような発言が多かったですが、リスクがまったくないわけではありません。相手のスネや膝を蹴ってしまい、自分の足を痛めてしまうリスクがあります。また、カーフキックを蹴った時や蹴り終わった時に、カウンターをもらってしまう可能性があることです。カーフキックを空振りした時に攻撃されてしまうリスクもあります。
ムエタイの構えの場合は、後ろ重心のため
カーフキックはもらいにくいです。
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カーフキックへの対策

カーフキックへの対策はありますか?
カーフキックへの対策もいろいろと言われています。普段からしっかりと対策を練って練習していれば、簡単に当てるのは難しくなっていきます。
✅バックステップ
✅カット
✅スイッチ
✅膝を向ける
MMAの場合はバックステップで避けるのが1番バランスが良いと思います。スタンスが広いのでカットするのは難しいです。もしカットしようとすると後ろ重心になるため、タックルを極められてしまう可能性があります。そのため、MMAやパンチ重視の選手にとってはカットをするのは難しいです。
MMAやキックボクシングでも自由にスイッチしながら試合をする選手がいますが、スイッチしながらうまく戦える選手なら有効です。しかし、不器用なタイプだとスイッチしてもうまく戦えないのであまりオススメしません。
空手家の纐纈さんのカーフキック動画で受け方を説明していますが、カーフキックを想定して何度も練習していれば実戦でも使えそうです。
カーフキックまとめ
カーフキックの威力は大晦日のRIZINで、お茶の間にも広がっていきました。反則技、使用禁止にするべきだという意見もありましたが、完全無敵の最強技ではありません。三日月蹴りやカーフキックなどもまともに当たればかなり効く技ですが、普段から対策方法を練習していればそうそう簡単に当たるものでもありません。
これからMMAでもキックボクシングでもカーフキックを使う選手が増えてきそうです。そうすると、しっかりと対策する選手も多くなってくるので簡単には効かせられないと思います。カーフキックがブームになった後にまた違った技が新しく出てきて、どんどん格闘技界のレベルがアップしていくことでしょう。